CBRS CBRSとは
Citizens Broadband Radio Service (CBRS) とは、プライベート5GやプライベートLTEネットワークに使用できる米国の免許不要の周波数帯です。具体的には3.5GHz帯域の中の150MHzの周波数帯を指します。広範囲のカバレッジ、決定論的な接続、トラフィックセグメンテーションが必要な従来のWi‑Fiユースケースを補完するために、企業によるプライベート5G/LTEの利用が増加しています。
- CBRSの説明
- CBRSの用途
- CBRSの3つの階層
- CBRS対応デバイス
- CBRSが重要である理由
- CBRSベースのプライベートモバイルネットワークを展開するための条件
- CBRSには4Gネットワークと5Gネットワークのどちらが適しているのか
- CBRSの業界別ユースケース
- CBRSプライベートモバイルネットワークはLTEと5Gのどちらを使用するのか
- CBRSベースのプライベートネットワークとWi‑Fiの比較
CBRSの説明
Citizens Broadband Radio Service (CBRS) は3.5GHz帯域 (「Band 48」) の中の150MHzの周波数帯 (3.55~3.7 GHz) です。市場ではさまざまな解釈がされていますが、技術的には米国の150MHz (3.55~3.7 GHz) 周波数帯であり、プライベートモバイルネットワークに使用できます。
CBRSの用途
CBRS周波数帯の主な用途は次のとおりです。
- マクロ拡張。特に都市部で通信事業者のマクロネットワークに追加無線容量を提供します。
- 固定無線アクセス (FWA) バックホール
- 企業や自治体向けの民営モバイルネットワーク このページでは、企業のプライベートモバイルネットワークのユースケースを取り上げます。
CBRSの3つの階層
この周波数帯のユーザー層は次の3つです。
- 既存層: アメリカ海軍や固定衛星など
- Priority Access License (PAL): 主に、免許周波数帯の費用を支払って利用している通信事業者
- General Authorized Access (GAA): この周波数帯を免許を持たずにプライベートネットワークに利用する企業
これらの階層がCBRS帯を同時に共有するため、FCCでは、GAAユーザーがPALや既存のユーザーに干渉せず、またPALユーザーが既存ユーザーに干渉しないよう規定しています。この潜在的干渉に対処するにはSpectrum Access System (SAS) が必要です。
CBRS対応デバイス
Apple iPhoneやGoogle Pixelなど、最近の携帯電話はほぼすべてCBRS帯に対応しています。HP、Dell、Lenovoのノートパソコンや、Apple、Samsung、Zebraのタブレットもこの周波数帯に対応しています。CBRS対応デバイスのエコシステムは今後も拡大し続けます。
CBRSが重要である理由
企業がプライベートモバイルネットワークにCBRSネットワークを導入する主な理由は次のとおりです。
- 屋外のワイドエリアカバレッジを拡大します。CBRSベースのセルラーワイヤレスは、Wi‑Fi APよりもアクセスポイント(AP)あたりのカバレッジが広くなります。ただし、APあたりのスループットは低くなります。
- ネットワークセグメンテーションを向上します。つまり別のオーバーレイネットワークを展開し、比較的クリーンな周波数帯で動作させることができます。製造または産業ネットワーク、従業員専用の音声通信ネットワーク、小売のPOSデバイスなど、重要なトラフィックに適しています。
CBRSベースのプライベートモバイルネットワークを展開するための条件
プライベートLTEネットワークの展開は従来、エンタープライズグレードのWi‑Fiネットワークの導入に比べてはるかに複雑でした。プライベートセルラーネットワークには、デバイスの接続、LTEスモールセル間のローミング、データプレーントラフィックの転送などのネットワーク管理を行うモバイルコアが必要です。また、企業はデバイスごとにSIM (Subscriber Identity Management) カードやeSIMを割り当てて管理する必要があります。さらに、CBRS帯を使用するには、近隣の無線からの干渉に対処するため、Spectrum Access Service (SAS) のFCC認定を受けたシステムと統合する必要があります。
これらすべてのハードウェアおよびソフトウェアコンポーネントを統合し、エンタープライズITネットワーク統合に対応できる新しいCBRS用サブスクリプションベースサービスが市場に登場しています。包括的に統合されたこのソリューションは、市場の他の競合ソリューションに比べて導入を大幅に簡素化できます。
CBRSには4Gネットワークと5Gネットワークのどちらが適しているのか
使用するエンドデバイスや、それが4G対応か5G対応かによって異なります。4Gと5Gを組み合わせた新しいコアなら、準備が整い次第4Gから5Gに簡単に移行できます。
CBRSの業界別ユースケース
さまざまな業界が、既存の無線環境を補完するためにCBRSを使用しています。以下にいくつかの例を挙げます。
- 倉庫および配送センター: 自動運転車や自律型ロボット向けの広範囲の無線接続
- 医療: スタッフに割り当てられたスマートフォン上の連携アプリを使用するためのプライベートモバイルネットワーク接続
- 大規模な公共施設: サポートスタッフのオペレーション用にネットワークをセグメント化し、ゲストサービス用にWi‑Fiを確保
- 小売り: 混雑した店内で、スタッフが操作する企業所有デバイス用にクリーンな周波数帯を提供
- 初中等教育機関: 生徒宅につながる屋外無線回線を確保し、通信過疎地への接続を提供
CBRSプライベートモバイルネットワークはLTEと5Gのどちらを使用するのか
現在、CBRSプライベートモバイルネットワークはLTEをよく使用しています。しかし将来的には5Gにも対応する予定です。5Gに対応するようになると、欧州でもCBRSタイプの実装が増えると予想されます。
CBRSベースのプライベートネットワークとWi‑Fiの比較
CBRS帯は、4G (LTE) そしていずれは5Gを含め、さまざまな携帯電話規格に対応するよう意図されていますが、Wi‑Fiではありません。現在、すべてのCBRSシステムはLTEをベースにしています。
企業は、既存のWi‑Fiシステムを置き換えるのではなく、強化する手段としてCBRSに関心を寄せています。CBRSとWi‑Fiの主な違いには次のものがあります。
- カバレッジ: 屋内用CBRS LTE APは、一般的な屋内用Wi‑Fi APの約4倍の範囲をカバーします。CBRSは3.5GHz周波数帯で動作するため、2.4GHzまたは5GHzで動作するWi‑Fiと伝搬はほぼ同じです。
- 設計: CBRSシステムの導入は、EPCやSASなどのコンポーネントが必要なこともあり、従来はWi‑Fiシステムの導入よりも複雑でした。
- 料金: CBRSベースのLTEは、従来のスモールセルベースのアーキテクチャよりも安価なセルラーソリューションである一方、CBRSのAPあたりの価格は、一般的なWi‑Fi のAPあたりの価格よりもはるかに高くなります。ただし、CBRSのカバー範囲が広く、関連するケーブル配線および設置コストが低いため、このギャップはある程度縮まります。