データサイロ

データサイロとは

データサイロとは、互いに分離され、社内の他部門、他部署からアクセスできないデータストレージ/管理システムのことです。これは、互いに通信したり情報を共有したりすることができない個別のシステムやデータベースにデータが保存されている場合に発生します。データサイロは、非効率、ミス、遅延の原因となるだけでなく、企業がデータを活用して有益な情報を取得し、より適切な意思決定をするうえで妨げとなります。その結果、社内の複数の部署や事業部門でデータが重複したり、一貫性なく使用されることが多くなります。

データサイロは、複数の部署が運用する個別のソフトウェアシステム、異なるデータ標準、社内の非効率な連携など、さまざまな理由で発生する可能性があります。このようなデータサイロが企業に与える影響は、かなり深刻なものです。データサイロを解消し、一元的なデータ環境を構築することは、組織のコラボレーション、透明性、データの包括的な視点を重視するデータ主導の文化の発展をサポートします。

データサイロの原因

データサイロは、次のような要因によって発生する可能性があります。

  • レガシーシステム: データグラビティや高額なアップグレードコストが原因で、ミッションクリティカルなアプリケーションを実行する現行システムを移行できません。また、一部のシステムでは相互通信が正常に行われず、データサイロが発生します。
  • 地理的境界: データがさまざまな地域に分散する複数のシステムに保存され、各システムが異なるプロトコルを使用して処理を実行している場合、データサイロが発生する可能性があります。
  • M&A: 企業の合併や買収により、統合が困難な多様なデータシステムを引き継ぐ場合があり、その結果、データサイロが発生する可能性があります。
  • 組織構造: 大企業の複雑な組織構造においては、複数の事業部門や子会社それぞれがシステムを自律運用させている場合があり、その結果、データサイロが発生する可能性があります。

データサイロが形成される理由は他にもあります。その1つが、データセキュリティやプライバシーの問題に対処するための意図的なデータサイロの構築です。一部の企業ではデータサイロは、データへのアクセスを制限して重要な情報を保護するために意図的に形成される場合があります。限られた人員のみがデータにアクセスすることでサイロが形成され、データの有益な情報の利用が制限されます。その結果、組織内のデータのやり取りが阻害される可能性があります。また、もう1つの理由として、有効でないデータガバナンスの適用も考えられます。優れたデータガバナンスを適用することで、組織はデータサイロを排除し、統一されたデータプラクティスと標準を確立することができます。一方、データガバナンスが有効でない場合、複数のシステム間でデータの整合性と品質を確保することが困難になり、データサイロ発生の原因となり得ます。

データサイロが引き起こす問題とは

データサイロは、組織に次のような問題を引き起こす可能性があります。

  • データサイロにより、データ入力が重複する可能性があります。これにより運用コストが上昇し、組織境界を越えて働くチームがデータを共有することが困難になります。
  • データサイロにより、エンジニアやアナリストがデータを包括的に把握することが難しくなり、処理結果の信憑性に疑問が残る可能性があります。
  • データサイロにより、適切な意思決定が行えず、ビジネス機会を逃す可能性があります。
  • データサイロを排除しなければ、システムを管理、制御するためのソフトウェアライセンスや、システムを監視、保守するための専任のITプロフェッショナルが必要になり、運用コストの増加につながります。
  • データがサイロ化されている場合、企業は市場の変化や顧客ニーズに迅速に対処することが困難になり、消費者行動の変化や競合にリアルタイムで対応するために必要なアジリティが低下したり、能力が制限されたりする可能性があります。
  • データサイロを排除し、統合データ環境を構築することで、企業はこれらの課題を克服し、総合的なパフォーマンスを向上させることができます。

HPEとデータサイロ

HPEでは、企業がデータサイロを排除し、統合データ環境を構築するためのソリューションを複数ご用意しています。ソリューションは次のとおりです。

  • HPE Ezmeral Data Fabric: オンプレミス、コロケーション、クラウド、HPE GreenLake、エッジの各拠点にわたるさまざまな種類のデータを即時に把握し、容易にアクセスできるようにすることで、企業がデータのサイロ化の課題を克服できるよう支援します。
  • HPE Edge-to-Cloudトランスフォーメーション プログラム: データサイロを排除し、組織のエッジ、コア、クラウド環境にわたるシームレスなデータ運用を実現することを目的としたソリューションです。
  • HPE Ezmeral Unified Analytics: データの取り込み、処理、分析のための一元化された環境を提供することで、データサイロの統合を可能にします。
  • HPE Ezmeral Container Platform: このプラットフォームにより、組織はコンテナ化アプリケーションをオンプレミスまたはクラウドで実行することができます。アプリケーションの開発と展開に一元化されたアプローチを提供し、組織全体のデータとアプリケーションの管理を容易にします。
  • HPE Ezmeral Unified Analytics: クラウドのようなエクスペリエンスを備えたフルマネージド型のセキュアなオープンソースSaaSソリューションと非常に人気の高いオープンソースツールの厳選されたスタックにより、ハイブリッド環境でのアプリケーションと分析ワークロードの開発と展開を支援します。
  • HPEストレージ: HPEは、オールフラッシュ/ハイブリッドストレージ アレイなど、企業がデータサイロをより効率的に管理できるよう支援するさまざまなストレージソリューションを提供しています。高パフォーマンス、拡張性、耐障害性を備えたこれらのソリューションは、組織全体のデータの保存、管理、保護を容易にします。