分散エッジコンピューティング

分散コンピューティングとは

簡単に説明すると、分散コンピューティングでは、単一のコンピューターとプロセッサー (モノリシックシステムと呼ばれる) ではなく、コンピューターまたはサーバーのネットワークを通じてコンピュートタスクを処理します。

分散コンピューティングの仕組み

分散コンピューティングは、インターネットまたは クラウドベースのネットワークを通じて、ワークロードの処理をほぼ無限にあるコンピューティングリソース間で共有することで効果を発揮します。各処理ノードがそれぞれのワークロードを処理する一方で、コンピュート負荷全体がすべてのノード間で動的に共有されます。ノードは、リアルタイムにネットワークに接続してプロセス中心のワークロードを処理できます。またすべての障害点は常にその他の分散コンピューティングシステムから分離されています。

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分散コンピューティングとクラウドコンピューティングの違い

分散コンピューティングとクラウドコンピューティングの主な違いは、コンピューティングリソースの場所にあります。分散コンピューティングでは、リソースはローカルにありますが、接続はネットワークを通じて行われます。クラウドコンピューティングでは、すべてのリソース (ハードウェア、ソフトウェア、インフラストラクチャ) がクラウド/ネットワークを通じて提供されます。

分散トレーシングとは

分散トレーシングは分散要求トレーシングとも呼ばれており、分散コンピューティングにおける多種多様なプロセスをトラッキングする手法の1つです。大規模な分散コンピューティングのケースでバグ、ボトルネック、スロットル調整などの障害点を特定するうえで不可欠なものです。その名のとおり、これは各段階をトレースし、大規模かつ複雑なシステムの詳細についてより多くの有益な情報を収集する手法です。 

水平拡張と垂直拡張の違い

垂直拡張は、容量を増やすことなく処理能力を向上させる方法で、既存のコンピューターまたはサーバーにRAMを追加するか、CPU速度を向上させるか、ストレージを追加します。水平拡張は、ネットワーク経由で新たなサーバーまたはチーフ/ワーカーコンピューターを追加するなど、全体の容量を増やすことで処理能力を向上させる方法です 

分散コンピューティングのタイプ

分散コンピューティングでは、リソースと求められるタスクに応じて、各種の複雑なアーキテクチャーが使用されています。分散コンピューティングは拡張性に優れているため、大規模なネットワークでは微妙に異なる部分もありますが、その多くは以下の基本カテゴリのいずれかに分類されます。

クライアントサーバー

クライアントサーバーネットワークは、処理とストレージの役割を果たす1台の中央サーバーと、サーバーとの間でメッセージを送受信する端末として機能する複数のクライアントで構成されています。クライアントサーバーネットワークの代表例がメールです。 

3層型

このタイプの分散コンピューティングネットワークでは、第1層がプレゼンテーション層と呼ばれており、エンドユーザーがメッセージを送受信する際のインターフェイスとなります。中間部分はアプリケーション層、中間層、またはロジック層と呼ばれており、アプリケーションの機能を制御します。最後の層がデータベースサーバーまたはファイル共有で、タスクの実行に必要なデータが保存されています。3層システムの代表例がe-コマースサイトです。 

ただし、「多層」または「n層」分散システムは「3層」アーキテクチャーが変化したものであり、両者の間にはある程度重なる部分があります。主な違いは、各層が異なる物理空間にあり、大規模なコンピューティングアーキテクチャーにおける専門的かつ局地的なタスクを実行することです。

Peer-to-peer (ピアツーピア)

このディストリビューションアーキテクチャーでは、ピアが平等に権限を持ち、平等にワークロードを処理する能力を備えています。こうした環境では、ピア、ユーザー、またはマシンがノードと呼ばれ、関係者間の一元的な調整は不要です。ピアツーピアネットワークの代表的なユースケースがファイル共有アプリケーションのNapsterです。Napsterは、インターネットに対応したリスナー間で音楽を共有する手段として1999年にリリースされました。 

分散コンピューティングのメリット

分散コンピューティングにはさまざまなメリットがあることから、簡単な計算以外のほぼすべての最新型コンピューティングプロセスで、分散コンピューティングアーキテクチャーが利用されています。

拡張性

まず、ネットワークはタスクのニーズに合わせて設計できるだけでなく、リアルタイムに動的に拡張して、ニーズに応じてノードをオンボーディングし、その後ニーズが減ったときは非アクティブ状態に戻すことができます。

信頼性

分散型システムの性質上、アーキテクチャーには元々冗長性が備わっています。ノードがコンピューティングタスクをサポートしようとすると、そうした同じノードが障害や不具合のあるノードをカバーし、プロセスのダウンタイムをゼロに抑えることに貢献します。e-コマースのケースでは、取引中にショッピングカートサーバーに障害が発生した場合、正常なサーバーが介入して販売を完了することが可能です。

スピード

分散コンピューティングシステムがもたらす最も重要なメリットは、複雑なタスクが処理されるスピードにあります。サーバーが大量のトラフィックで足止めされるような状況でも、分散型システムならリアルタイムに拡張し、十分な処理能力で同じタスクを処理できます。基本的に分散型システムは、ニーズとリソースを動的に一致させることでワークロードを標準化するように設計できます。 

HPEと分散コンピューティング

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