モノのインターネット (IoT)

IoT (モノのインターネット) とは

モノのインターネット (IoT) は、インターネットを介してデータの収集と送信を行ったり指示を受けたりする、従来のコンピューティングデバイスとは異なる成長中のスマートな「モノ」のネットワークです。

データへのアクセスを提供

IoTは、ビジネスプロセス、製造環境、製品開発、サプライチェーンなどから収集した膨大なデータへのアクセスを企業に提供します。このようなデータを分析すれば、生産性を向上させたり、安全性を高めたり、予測メンテナンスを実現したり、運用を最適化したりする大きな機会を明らかにできます。

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アナログデータからデジタルデータへ

「モノのインターネット」という言葉は、Procter&Gamble社でサプライチェーンの最適化に取り組んでいた、Kevin Ashton氏によって1999年に初めて使用されました。同氏は、物理的な情報をデジタルデータに変換できるよう、そうした情報をキャプチャーするセンサーシステムを思い描き、今では約140億台のIoT接続デバイスが世界中に存在しますが、その数は2025年までに300億台を超えると予想されています。

IoTの主なテクノロジー

デバイスをIoTの一部にするには、いくつかのクリティカルなコンポーネントが必要です。

センサーは、IoTデバイスが物理環境に関する情報を収集する手段であり、人間の視覚、聴覚、触覚のデジタルバージョンのようなものです。センサーには多種多様なタイプがあり、デバイスで使用されるセンサーはそのデバイスの機能によって異なります。たとえば、スマートサーモスタットには必ず温度センサーが必要ですが、加速度計はおそらく必要ありません。

マイクロコントローラーは、デバイスにコンピューティング性能、メモリ、およびインターネット接続を提供するものであり、センサーがデバイスのデジタルの目と耳であるのなら、マイクロコントローラーは脳の役割を果たします。マイクロコントローラーの処理能力は限られていますが、単一のチップにCPUとメモリが組み込まれているため、低コストで所要電力が最小限で済むうえ、比較的シンプルであることから、多くのIoTデバイスでの使用に適しています。

ネットワーク接続は、デバイスとの間でデータを移動するのに必要です。Wi-Fi、WAN、LAN、セルラー、Bluetooth、NFCなど、利用可能なオプションは数多くありますが、使用する接続オプションは、デバイスのタイプだけでなく、そのデバイスを使用している環境によっても変わります。たとえば、セルラーネットワークはそのアーキテクチャーと構造から利用できる施設が制限されていたかもしれませんが、自動運転車のデバイスには次世代の5Gネットワーク接続が必要になります。

IoTのユースケース

IoTは、スマートホームやスマートシティから、製造、遠隔医療、さらには精密農業まで、多種多様な市場の進歩を後押ししています。IoTの可能性はまだ最大限に引き出されてはいませんが、IoTはすでに数多くの用途で実用化されています。

輸送と物流: 製品の品質を監視できるよう、IoTデバイスは輸送コンテナで使用されており、位置、コンテナの開梱、温度、振動などのデータの追跡と収集を行っています。アイドル時間、走行時間、および運転スタイルを監視できる車両追跡システムがフリート管理に役立てられており、配送ルートの効率化やドライバーの安全性の向上に貢献しています。また路上のセンサーから提供されるリアルタイムの交通データにより、ドライバーはより迅速かつ効率的に目的地にたどり着けます。

自動運転車: 完全な自動運転車はまだ存在しませんが、多くの製造業者が車両にカメラ、レーダー、ライダー、およびその他の車載センサーを追加しており、現在では、ブレーキアシストやステアリングサポートなど、車載機器や車両の周辺の環境に関する情報を収集して安全性を高めるためにこうしたデバイスが活用されています。そして将来は、このようなセンサーがネットワークに接続することで車両同士や車両と周囲のインフラストラクチャ間の通信が可能になり、完全な自動運転車が実現されると見られています。

スマートグリッド: IoTを活用すれば、分散型エネルギー源を有効活用できるスマートグリッドで時代遅れの送電網システムを置き換え、公益事業者とコンシューマー両方の制御を強化することが可能になります。家電のスマートメーターとスマートセンサーは、コンシューマーにエネルギー消費量の詳細情報を提供し、それに応じてエネルギーの使用を調整できるようにします。またIoTテクノロジーにより、公益事業者はリアルタイムデータを使用して障害を検出したり、負荷の変化に対応したり、配電を調整して効率を向上させたりすることができます。

医療: スマートウォッチ、フィットネストラッカー、バイオセンサーなどのIoTウェアラブルテクノロジーにより、コンシューマーは健康に関する膨大なデータに簡単にアクセスして一目で確認できます。スマートインスリンペン、植込み型心電図、コネクテッド吸入器、血糖値モニターなどの非常に堅牢なデバイスはさらにその先を行っており、患者が慢性疾患を監視して必要な場合にサポートを得るのに役立っています。そして遠隔医療と仮想医療により、リモートでの外来診療と長期的なケアが可能になります。

産業用IoTとインダストリー4.0

多種多様な業界が運用を改善するためにIoTを取り入れてきました。自動化の進歩、既存の生産設備に新しい安価なセンサーを追加できるようになったこと、そして運用テクノロジー (OT) とエンタープライズITの統合に伴って、多くの製造業者が運用のデジタル化を進める機会を探し求めていますが、このような流れが、物理とデジタル両方の環境を統合することで製造プロセスを変革したり、ビジネスオペレーションを改善したり、売上高を増加させたりするインダストリー4.0への移行につながりました。

インダストリー4.0は、産業用IoT (IIoT) なくしては実現できなかったと思われますが、IIoTにより、製造業者は安全性を向上させたり、メンテナンスプログラムを最適化したり、運用を効率化したり、オペレーターが効率を高められるようサポートしたり、計画外のダウンタイムを短縮したりすることが可能です。

現場の資産の状態をリモートで監視することにより、技術者はより的確に日々の計画を立て、サイト間の移動に費やす時間を減らせます。工場の作業現場では、センサーを活用することで製造品と製造プロセス自体両方の品質を評価し、最終的な製品の品質を安定させるとともに、さらなる品質向上の機会を見出すことができます。また土工機械や回転機械のセンサーは、資産のステータスに関するクリティカルなデータを収集でき、こうしたデータを活用して予測メンテナンスプログラムを実装すれば、機器のダウンタイムを短縮してメンテナンスのスケジュールを最適化することが可能です。

HPEのソリューションによるIoTへの接続

IoTは、接続されている人、場所、および資産から有益な情報を取得できる新たな機会をもたらします。今日のデジタルエコノミーでこうした機会を最大限に活かすには、ネットワーキング、コンピュート、データ管理、セキュリティに対する総合的なアプローチが必要ですが、HPEのサポートを利用すれば、IoTエコシステムを可視化して有益な情報を得ることができます。

HPE Pointnext Servicesのエキスパートなら、お客様がIoTソリューションを統合し、将来のIoTソリューションと高度なビジネスインテリジェンス機能の展開を加速させるのに役立つフレームワークを構築できるようサポートすることが可能です。

HPE Fast Start Condition Monitoring (FSCM) ソリューションを活用すれば、機器の稼働状況とパフォーマンスをリアルタイムでより的確に把握し、資産のメンテナンスに関する意思決定を向上させることが可能です。HPEのテクノロジー、信頼できるパートナー、および卓越したサービスを融合することにより、お客様がよりスマートな機器を活用して、ニーズ、システム、環境に合った意思決定を下せるようにします。

IoTアプリケーションを導入することにより、一部の企業はきわめて重要なセキュリティやコンプライアンスに関するベストプラクティスを上回る成果を上げています。HPE Aruba Networkingが提供するソフトウェア デファインド プラットフォームは、オープンでクラウドネイティブな性質を持ち、高度な人工知能 (AI) および機械学習 (ML) セキュリティ機能ですべてのネットワーク接続デバイスの中断を伴わない一元的な検出と監視を実現する設計となっています。

HPE Edgelineシステムは、分析を行うエンタープライズITシステムに主要なオープン標準ベースのOTデータ収集および制御テクノロジーを直接統合します。このようにして単一のHPE EdgelineシステムにOT機能とIT機能を統合することにより、データの収集、分析、および処理で生じるレイテンシが大幅に短縮されるだけでなく、スペース、重量、消費電力 (SWaP) も節約されます。