SAN (ストレージエリアネットワーク)
SAN (ストレージエリアネットワーク) とは
SAN (ストレージエリアネットワーク) は、ビジネスクリティカルなアプリケーションのスループットを向上させてレイテンシを低減する、広く利用されているストレージネットワーキングアーキテクチャーです。
SANは可用性と使用率を向上させる
大多数の企業で使用されているSANは、一般的に組織のきわめて重要な顧客データを仮想ネットワーク上の分離されたデバイスやサーバーに保存し、ストレージ機能をオフロードして効率を向上させるとともに、障害が起きた場合はそれを切り分けます。また多くの組織は、SANを使用してビジネスクリティカルなアプリケーションのパフォーマンスを向上させることにより、それらのアプリケーションをすぐに使用できるようにして使用率を高めています。
データのブロック
SANは、ネットワーク全体で一貫性のあるセキュリティ慣行に従ってデータをブロックで保存し、高速のアーキテクチャーの個別の階層に分割します。これによってデータストレージの効率が向上し、データ保護とセキュリティが強化されます。
論理ディスクユニット (LUN)
SANは、論理ディスクとしてサーバーに提示される、論理ディスクユニット (LUN) (ストレージのブロック) にサーバーを接続します。その後サーバーが (多くの場合にオールフラッシュストレージとして) それらの分割とフォーマットを行い、その高いパフォーマンスと低レイテンシを活用します。ユーザーは、ローカルエリアネットワーク (LAN) に格納されているかのようにSANに保存されているデータとデバイスにアクセスします。
複数の物理サイトをカバー
ストレージエリアネットワーク (SAN) は複数のサイトをカバーでき、多くの場合ファイバーチャネル (FC) テクノロジーをベースとしています。SANは、SANに接続しているシステムの種類に応じてFibre Channelプロトコル (FCP) か独自仕様のバリアントを使用します。SANストレージは、複数のユーザーが複数のストレージデバイスに同時に接続する必要がある場合に特に有用です。
SANのタイプ
SANは、以下に示す4つの一般的なプロトコルを使用してデータを伝送します。
1. Fibre Channelプロトコル (FCP) - 広く導入されているFCPは、ファイバーチャネルネットワークを使用してSCSIコマンドを送信し、コンピュートストレージとサーバー間でrawブロックデータを損失することなく高速で伝送します。
2. Internet Small Computer System Interface (iSCSI) – 約10分の1の企業で使用されているiSCSIは、FCPより低コストです。iSCSIは、Ethernetフレーム内のSCSIコマンドでブロック指向のストレージデータをマッピングしてから、標準的なTCP/IP Ethernetネットワークを使用してデータを伝送します。
3. Fibre Channel over Ethernet (FCoE) – FCoEは基本的に新しい物理リンク (Ethernetリンク) にFCPを配置します。このようにシンプルなスイッチであることから、従来のプロトコルと比較して、SANで使用するハードウェアとケーブルが減るうえ、インストールと管理も容易です。FCoEは、個別のLANとSANを実行する必要もなくす標準ベースのプロトコルです。
4. Non-Volatile Memory Express over Fibre Channel (FC-NVMe) – FC-NVMeは、PCI Express (PCIe) バスを介してフラッシュストレージにアクセスするためのインターフェイスプロトコルです。FC-NVMeを使用すれば、従来のオールフラッシュアーキテクチャーと比較してパフォーマンスが大幅に向上します。AHCIは単一のシリアルコマンドキューに限定されますが、NVMeでは、それぞれが数万の同時コマンドを管理する数万の並列キューを処理できます。
SANとNASの違い
SANとNAS (ネットワーク接続ストレージ) はどちらも、ストレージを一元的に管理して複数のサーバーと共有する手法ですが、いくつかの違いで区別されます。まず、NASはSANストレージより抽象化されます。NASは、ストレージをメインユニットで管理されるファイル、フォルダー、およびボリュームに分割するため、データはSANのように論理ユニット番号 (LUN) で構成されるブロックに保存されるのではなく、接続デバイスから完全に独立しています。
また保存したデータの共有に使用する手法も異なり、SANが専用のネットワークを使用する一方、NASは共有ネットワークを使用します。さらに、SANとNASは伝送機能にも違いがあり、NASはEthernetを使用しますが、SANはEthernetとファイバーチャネルの両方を使用します。
そしてそれぞれのメリットも異なり、SANが高いパフォーマンスと低レイテンシに重点を置く一方、NASは使いやすさ、管理性、拡張性、および低コストをターゲットとしています。
SANとNASで使用されるプロトコル
SANは、FCP (Fibre Channelプロトコル)、iSCSI (Internet Small Computer System Interface)、FCoE (Fibre Channel over Ethernet)、そしてFC-NVMe (Non-Volatile Memory Express over Fibre Channel) の4つのプロトコルを使用しますが、いずれかのSANプロトコルを使用してデータを提供する場合、ユーザーにはSANのトラフィックを伝送するための専用のハードウェアが必要になることがあります。たとえば、さまざまなスイッチやネットワークカード、または場合によってはホストが一部のCPUの処理を他に任せることができるコンバージド ネットワークアダプター (CNA) を導入する必要があり、これらの専用リソースがパフォーマンスの向上に貢献します。
その一方 NAS は、別のタイプのサーバー (Windowsおよび/またはLinux) で共有される、Common Internet File Services/Server Message Block (CIFS/SMB) とNetwork File System (NFS) というプロトコルを使用します。これらのプロトコルは、ストレージデータの管理を容易にするとともに、エンドユーザーのシステムにすでに存在するインフラストラクチャをネットワークで使用できるようにします。
組織におけるSANの活用方法
SANは、教育、小売、銀行、通信、保険、金融サービス、メディア、政府機関などの業界の企業で使用されていますが、SANが最も多く使用されているのは、コンピューターソフトウェア、情報テクノロジー、情報サービス、病院、および医療の分野です。このような分野の企業は、多くの場合にハイパフォーマンスコンピューティングの要件に基づいて仮想化アプリケーションを実行したり、ハイブリッドマルチクラウドを運用したりしており、ビッグデータを処理するための膨大なSANのデータストレージ容量を必要としています。
たとえば、コンピューターソフトウェア企業は、わずか1つの実行可能な選択肢にたどり着くまで、絶え間なく設計、テスト、失敗、反復を続けて新しい製品を開発していますが、こうしたプロセスでは、開発中に数千回ではないにしても数百回のイテレーションを経なければならず、膨大なデータストレージが必要です。
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