非構造化データ 非構造化データとは
データストレージの文脈における非構造化データとは、形式や内容が大きく異なる情報のことです。非構造化データにはファイルデータとオブジェクトデータが含まれており、人工知能 (AI) で重要な役割を果たします。このタイプのデータは、事前定義済みのデータモデルに収まらないため、保存、取得、分析が困難です。非構造化データの多くは定性的であり、形式はさまざま (メール、ソーシャルメディアへの投稿、記事、写真、グラフィックス、録音、ポッドキャスト、動画、ログ、IoTストリームなど) ですが、通常はネイティブ形式で保存されています。非構造化データが世界のデータの大部分を占めており、有益なインサイトを引き出すには、自然言語処理 (NLP)、画像認識、AI主導の分析などの高度なツールが必要となります。
- 非構造化データの例
- AIがもたらす非構造化データの機会
- 非構造化データの活用をサポートするHPEのソリューション
非構造化データの例
形式や組織構造を持たない情報は、通常のデータベースに保存して処理することが困難です。このように多様なデータは、さまざまなソースからさまざまな形式で生成されます。
メール、ソーシャルメディアへの投稿、ブログ記事、カスタマーレビュー、チャットのログ、PDF、WordおよびExcelファイル: こうしたデータは有益なインサイトをもたらしますが、確認にはNLPテクノロジーが必要となります。
マルチメディア: 写真、YouTubeの動画、ポッドキャスト、音声録音が含まれます。画像認識、ビデオ分析、音声テキスト変換で、マルチメディア形式の利用が増えています。
センサーとIoTデバイス: 活動量計、スマートホームの温度およびアクティビティセンサー、産業機器の機械式記録などがあります。通常、こうしたデータにはリアルタイムの処理と複雑な分析が必要です。
インターネット: HTMLページ、クリックストリーム ナビゲーションパターン、Webスクレイピングデータが含まれます。これらのソースが、ユーザー行動の監視、Webサイトの最適化、市場インサイトの取得に使われています。
コールセンターの記録、自由記述のアンケート回答、法的書類: 顧客サービス、市場調査、法的分析にはこれらのデータが重要ですが、その分析には複雑なアルゴリズムが必要になります。
AIがもたらす非構造化データの機会
世界のデータの約80%を占める非構造化データの解釈において、AIに大きな期待が寄せられています。AIは、標準データベースに収まらないテキスト、写真、音声やビデオデータからインサイトを引き出すことができます。
自然言語処理 (NLP) は、ドキュメント、ソーシャルメディア、消費者のフィードバックを分析して感情を認識し、資料を要約しながら重要な要素を特定することができます。こうした機能により、チャットボット、バーチャルアシスタント、コンテンツ分類が可能になり、企業のコミュニケーションとワークフローが改善されています。
AIにより、監視、医用画像処理、コンテンツ管理のための顔認識、物体識別、ビデオシノプシスが可能になります。同じ手法で話し言葉をテキストに変換することで自動転写や音声認識を実現し、声のトーンを分析して感情に関するインサイトを得ることもできます。
AIは、概念間のつながりを整理することや、非構造化資料からメタデータを抽出してナレッジグラフを作成することにも優れています。こうした戦略によって検索性が向上し、セマンティック検索エンジンではより正確でコンテキストに応じた結果が得られるようになります。非構造化データは、ユーザーの好み、レビュー、マルチメディアのアップロードに基づいて推奨事項をカスタマイズするために使用されます。
AIは、医用画像や臨床論文から情報を抽出して患者の診断と治療をサポートします。カスタマーサポート分析ソフトウェアは、チャット記録を検証することで、フィードバック傾向の特定とサービス強化につなげます。予測分析では、AI技術を活用して、不正検知や市場分析の意思決定に役立つ傾向や異常を明らかにします。AIがテキストおよび視覚的な偏りを検出し、通信データに規制違反が含まれないか監視することで、コンプライアンスと倫理を向上させます。こうした事例で規範と公平性が向上し、企業が実行可能な計画を策定してイノベーションを推進するうえで有益なインサイトをAIが収集するのに役立っています。
非構造化データの活用をサポートするHPEのソリューション
HPEでは、次のような幅広い非構造化データ向け製品およびサービスを提供しています。
- HPE Alletra Storage MP X10000: スケーラブルで高性能、かつ管理が簡単な高速オブジェクトデータストレージソリューションによって非構造化データの価値を引き出すことで、イノベーションを推進して価値実現時間を短縮できます。
- HPE Greenlake for File Storage: エンタープライズレベルのパフォーマンス、シンプルさ、高効率をすべてAIスケールで実現し、AIなどのデータ集約型ワークロードを高速化するファイルデータストレージソリューションです。エンドツーエンドのHPE GreenLakeエクスペリエンスでファイルデータの保存と管理をサポートします。
- HPE Ezmeral: 非構造化データの処理と分析を行う統合プラットフォームです。データレイクアーキテクチャー、高度な分析、機械学習ワークフローをサポートしており、テキスト、画像、ビデオデータなどのさまざまなソースから実用的なインサイトを簡単に抽出できます。
- HPE GreenLake: HPE GreenLakeはas a serviceモデルを通じて、スケーラブルでクラウドのような非構造化データ管理ソリューションを提供します。ソリューションにはストレージ、分析、AI主導の処理サービスが含まれており、企業は社内データを柔軟にコスト効率よく処理できます。
- HPE AIOpsとData Services Cloud Console: 構造化データを管理および最適化する、AI主導の予測分析を含む統合管理制御プレーンです。潜在的な問題をプロアクティブに特定して解決することで、企業のデータストレージシステムの信頼性、パフォーマンス、効率を確保できます。
- HPE StoreOnce: HPE StoreOnceは、効率的なバックアップ、リカバリ、重複排除機能により、非構造化データの包括的なデータ保護を実現します。組み込みの暗号化とアクセス制御で機密情報のセキュリティと完全性を確保します。
- HPEとAIエコシステムのパートナーシップ: HPEは、Apache Hadoop、TensorFlow、Sparkなどの主要なAIフレームワークと連携してプラットフォームを強化しています。企業はこうしたパートナーシップを利用することで、画像認識、自然言語処理、カスタマーインサイトなどに必要となる高度なAIモデルを構築できます。
HPEの製品ラインナップとパートナーシップは、非構造化データを保存、管理、分析、保護するためのエンドツーエンドのソリューションを提供し、企業がデータの価値を最大化できるようにサポートします。
非構造化データと構造化データの違い
機能 | 非構造化データ | 構造化データ |
---|---|---|
形式 | 事前定義済みの形式や組織構造を持たない | 事前定義済みのスキーマで整理されている (データベースの行と列など) |
ストレージ | データレイク、NoSQLデータベース、またはファイル/オブジェクトストレージシステムに保存 | リレーショナルデータベースに保存 (SQLなど) |
例 | - ソーシャルメディアへの投稿 - 画像、動画、音声ファイル - メールの内容 | - CRMの顧客データ (氏名、年齢、メールアドレス) - Excelの在庫データ |
クエリ | 分析には、ファイル/オブジェクトストレージシステムとAI、NLP、機械学習などの特殊なツールが必要 | SQLまたは類似のツールを使用して簡単にクエリ可能 |
ボリューム | サイズが大きいことが多く、ファイルやオブジェクトの数が急激に増加する | サイズが小さいことが多く、管理しやすい |
分析 | AIや機械学習などの高度な分析技術が必要 | 従来のBIツールで簡単に分析可能 |
アプリケーション | 感情分析、画像認識、ビデオ分析、トレンド予測 | 財務報告、在庫管理、運用データベース |
柔軟性 | 柔軟性が高い: 多様で進化するデータ形式に対応可能 | 柔軟性がない: スキーマの変更には大幅な調整が必要 |
データソース | ソーシャルメディアプラットフォーム、IoTデバイス、メール、マルチメディアコンテンツ | トランザクションシステム、構造化調査 |